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デスクに置かれたノートパソコン

コラム

当カウンセリングルームには、臨床心理士・公認心理師の資格を持つスタッフが6名在籍しており、それぞれが専門性と経験を活かして日々多様なご相談に向き合っています。そんなスタッフによるコラムを、ぜひお楽しみください。毎月交代で、こころにまつわるテーマをやさしい言葉で綴ってまいります。

ゆっくりと、
自分ペースで過ごす夏

7月。セミの声が響き、空はまぶしいほどに広がる季節。夏がやってきました。

夏休み、お祭り、旅行に帰省……街も人のこころも、どこかそわそわとにぎやかになりますね。

「夏なんだから、楽しまなきゃ」と思う気持ちは、ごく自然なものです。

けれどその一方で、「なんとなく気持ちが落ち着かない」「人に会う予定が多くて、ちょっと疲れてしまう」…そんなふうに感じることも、あるのではないでしょうか。

そんなとき、自分を責めてしまったり、まわりの様子と比べて焦る気持ちが出てくることもあるかもしれません。
でも、こころのリズムは人それぞれ。にぎやかな季節のなかで、自分の気持ちをそのまま受けとめながら、自分ペースで、心地よく過ごせるヒントを紹介させてください。

 

【自分ペースの夏にするための4つのヒント】

1.「無理に楽しもうとしなくても大丈夫」

SNSやまわりの様子を見て、「自分ももっと楽しんだほうがいいのかな」と思うこと、ありますよね。でも、気分や体調は毎日少しずつ違うもの。気持ちが乗らないときは、「いまはこう感じているんだね」と、やさしく声をかけてあげましょう。

2.「好き」をちょっとだけ優先してみる

冷たいアイスを食べる。お気に入りの香りに包まれる。好きな音楽に耳をすませる。

そんな小さな“うれしい”を、今日のどこかにひとつだけでも。自分にやさしくすると、こころもそっとゆるみます。

3.「笑うこと」を忘れずに

面白い動画を見て、ひとりでふふっと笑う。誰かとの何気ないやりとりで、思わずこぼれる笑い声。大きな出来事がなくても、笑うことには、こころをゆるめる力があります。口角がすこし上がるだけで、気分もふわりと変わることがあります。

4.予定の“あいだ”に余白をつくる

予定が続くと、気づかないうちにこころもからだもぎゅっと縮こまってしまいがちです。

ひと息つける“何もしない時間”を、そっとはさんでみてください。想像以上に、こころが「ありがとう」と言ってくれるかもしれません。

 

7月は、楽しいことばかりではないからこそ、自分なりの自分ペースで過ごすことが大切です。

どんな過ごし方も、“こうでなきゃ”という完璧な形を目指さなくても大丈夫です。

暑い夏だからこそ、ほんの少し肩の力を抜いて、“自分の夏のかたち”を見つけていけたら素敵ですね。

みなさんにとって、この夏が穏やかで心地よい時間となりますように。

(2025年7月、吉岡)

雨音に包まれる季節に、
そっと心と体をととのえて

6月。空を見上げれば、雲がゆっくりと流れ、雨の気配を感じる日が増えてきました。街を歩けば、紫陽花が少しずつ色づき、葉の上に落ちる雨粒が静かに季節のうつろいを知らせてくれます。

 

そんなやわらかな変化の中で、私たちの心や体もいつもと少しちがうリズムを刻みはじめます。「なんとなく気分が重たい」「朝起きてもすっきりしない」――そんなふうに感じることはありませんか?

 

梅雨の時期は、気圧の変化や湿度の高さ、日照時間の短さなどが重なって、心と体にじんわりと影響を与えます。目には見えない変化ですが、なんとなく不調を感じるのは、とても自然なことなのです。

たとえば、曇りや雨の日が続くと、私たちの体内のリズムは少しずつ乱れてきます。眠りの質が落ちたり、気持ちが沈みやすくなったり、疲れやすくなったり。湿度が高い日は、体の中に余分な水分がたまりやすく、むくみやだるさとして現れることもあります。

 

こんな季節には、いつも以上に「自分をやさしく扱う」時間を意識して過ごしてみましょう。

 

まずは、朝のひとときを心地よく始めること

雨の音をBGMに、ゆっくりカーテンを開けて、自然の光をお部屋に取り込んでみましょう。たとえ曇り空でも、外の明るさに触れることで、体のリズムが少しずつ整っていきます。

 

食事は、体を冷やさない、やさしいものを選ぶことがポイントです。

温かいお味噌汁、生姜やねぎを使った料理など、消化にやさしく、心までほっとするような食事が、梅雨の重たさをやわらげてくれます。

 

また、体の巡りをよくするには、軽い運動や入浴もおすすめです。

無理に頑張らなくても大丈夫。ラジオ体操やストレッチ、ぬるめのお風呂にゆっくり入るだけで十分です。

 

そして、もっとも大切なのは、「無理をしすぎないこと」

雨の日は、空も地面も少しお休みモード。そんなときは、私たちも「少しゆるめに生きる」ことを自分に許してあげましょう。やる気が出ない日があっても、それは怠けではなく、自然に沿った流れのひとつです。自分を責めず、優しい気持ちでそっと受け止めてあげてください。

お気に入りの本を開いたり、雨音に耳をすませたり、ゆっくりお茶を飲んでみたり。そんな小さな時間の中に、心を整えるヒントが隠れています。

 

梅雨は自然がひと呼吸つくような静かな季節。

私たちもそのリズムに寄り添って、慌ただしい日々の中で、心と体の声にそっと耳を傾けてみませんか。雨の向こうには、また新しい光がきっと差し込んできます。

 

(2025年6月 髙木)

さわやかなはずの5月

春が終わり、5月も中旬となりました。この時期は、緑が生い茂り、ツツジなどの花々も美しく咲いていて、外の空気がとてもさわやかに感じられます。しかし、春から初夏への移行期間である今、そのさわやかさとは裏腹に、私たちのこころには「しんどい」「きつい」といった疲れが潜んでいることも少なくありません。皆さんはいかがでしょうか。

 

4月から新年度が始まり、生活や環境が大きく変わった方もいらっしゃるかと思います。そして気づけば、そのスタートから約1カ月半が経ちました。この時期は、「頑張らなきゃ」「もっと成果を出さないと」「親や周囲の期待に応えなきゃ」といった気持ちが強くなりやすい時期でもあります。そうした思いが続くことで、知らず知らずのうちに焦りや不安へとつながり、こころに負担がかかってしまうこともあります。

 

また、暖かくなり日差しが強くなるなど、季節の変化による影響もあります。気温や気圧の変化でエネルギーの消費が増え、体が疲れやすく、だるさを感じることもあるでしょう。

 

様々な変化にさらされながら頑張ってきた1ヶ月半。こころにもからだにも、しんどさや疲れを感じる今、短時間で気軽にできるリフレッシュの方法をご紹介します。

 

🔳自然の空気を感じる
5月の気持ちよい風を感じてみませんか? たとえば、休憩時間に少し外に出て空気を吸ったり、軽く散歩をしたりするだけでもOKです。自然に身を置くことで、心が少しずつ穏やかになり、気持ちがリセットされるかもしれません。

 

🔳マインドフルネスを取り入れる
マインドフルネスとは、「今この瞬間」に意識を向けて、浮かんでくる考えや感情をそのまま受け止めること。判断や評価をせずに、ただ感じてみることで、少しずつ気持ちが整っていきます。5分程度で出来るものもあります。例えば、静かな場所で姿勢を整えて座り、自身の呼吸や身体の感じに注意を向けてみるという方法です。もし他のことが思い浮かんだら、そっとそのままにしておき、また呼吸に意識を向けます。忙しい日々の中で心に余白をつくる手助けになるかもしれません。

 

ご紹介したもの以外にも、自分に合った方法はきっとあるはずです。中には「自分を労わるのが難しい」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは、まず「しんどいな」と感じている自分に気づき、見てあげてほしいなと思います。そして、できる範囲で少しだけ行動してみる。時には、やり過ごすというのもひとつの手かもしれません。

 

どうか皆さんが、この時期ならではのさわやかな空気を味わい、こころが少しでもあたたかく、軽やかに過ごせますように。

(2025年5月、堤)

春、深呼吸をひとつ

4月。春の空気とともに、新しい生活がはじまる季節です。新社会人として働き始めた方、部署が変わった方、新しいクラスや学校に通いはじめた学生さん、子どもが進学した保護者の方、そしてご家族の介護が始まったという方もいらっしゃるかもしれません。

 

こうした変化の中では、「ちゃんとやらなきゃ」「しっかりしなきゃ」と、知らず知らずのうちにこころにも体にも力が入りがちです。そしてうまくできなかったことに目がいってしまい、自分を責めてしまう方も少なくありません。

 

心の専門家として多くの方とお話をしてきた中で、いつもお伝えしているのは、「不安になったり、疲れたりするのは、ごく自然な反応です」ということです。変化の時期は、誰でも揺らぎます。その揺らぎは、適応しようと頑張っている証拠なのです。

 

そんなときにおすすめしたいのが、「できなかったことより、できたことに目を向ける」という視点です。

 

たとえば…

  • 朝、いつもより5分だけ早く起きられた

  • 忙しい朝でもお弁当を作れた

  • 途中で遮らず、子どもの話を最後まで耳を傾けた

  • 親にひとこと、感謝を伝えられた

  • メールの返信が面倒だったけど、ちゃんと送れた

 

どれも小さなことのように見えるかもしれませんが、ひとつひとつに「がんばり」が詰まっています。

 

また、「休むこと」も大切です。毎日を精一杯生きているからこそ、こころにも体にも“休憩時間”が必要です。5分でも、10分でも、自分のための時間を意識してとってみてください。深呼吸をするだけでも、気持ちが少しほぐれるかもしれません。

 

このコラムが、皆さんのこころに少しでもやさしく触れ、日々を乗りきるヒントになれたら嬉しいです。

 

来月は別のスタッフが執筆を担当します。それぞれの個性と想いがつまった文章を、どうぞお楽しみに。

 

(2025年4月、法澤)

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